ケアマネジャーになるには?初心者向けに資格取得から就職までを詳しく解説
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修受講試験を受け、合格する必要があります。また、試験を受験するための条件は、保健・福祉・医療分野で原則として5年間以上かつ900日以上の実務経験です。大学・専門学校等で特定の科目を履修する必要はとくにありません。実務経験を積みながら、民間の資格学校や学習アプリなどで資格取得に向けた知識を身に着け、試験に臨むことが一般的なルートとなります。ケアマネジャー試験は1年に1回、10月上旬に実施されます。合格率はおよそ20%で、十分に準備することが必要です。
ケアマネジャー試験合格後には、介護支援専門員実務研修の修了が必要です。研修の修了後は、研修修了証明書の交付と都道府県への登録を行うことで正式にケアマネジャーの免許を取得できます。
目次
ケアマネジャーに必要な資格・試験
ケアマネジャー試験の受験資格を得るためには、特定の業務で5年間以上かつ900日以上の実務経験が必要です。業務の種類は大きく分けて2つあり、生活相談員/支援相談員等の「相談援助業務」、看護師/介護福祉士等の「国家資格に基づく業務」です。ケアマネジャーの試験は年1回、例年10月上旬に実施されており、合格発表は12月上旬です。ケアマネジャー試験の合格率は、約20%です。合格基準は、総得点の7割以上(60点満点中)ですが、介護支援分野と保健医療福祉サービス分野の2分野それぞれで7割以上の正答率が必要となります。
ケアマネジャー試験 合格者数と合格率
厚生労働省発表資料より
ケアマネジャーを養成する学校・養成施設・学費
ケアマネジャーは実務経験が必須となる資格であるため、直接的にケアマネジャーについて学び、受験資格を得ることができるような大学や養成校は設置されていません。学校選びの際は看護師や介護福祉士など、自分がケアマネジャーになるためのステップとして自分の志向性に合う専門性をが身につく学校を選びましょう。 実務経験を積みながらの資格勉強は独学でも可能なため、学費は0円からでも取得できますが、多くの受験者は資格スクールや通信教育に通い、仕事と勉強を両立しています。
資格スクールは運営会社によって料金はさまざまですが、10日間ほどの通学コースであれば約15万円、6か月間ほどの通信コースであれば約3万円程度が目安となります。スクールや学習教材の購入は必須ではなく、自分の予算や期間に合わせて学習スタイルを選べます。
ケアマネジャーの学費
学校 | 期間 | 費用 |
---|---|---|
通学+通信資格スクールA | 6ヶ月 | 3.4万円 |
通学資格スクールB | 11日間 | 15万円 |
通信資格スクールC | 6ヶ月 | 2.5万円 |
通信資格スクールD | 6ヶ月 | 4.4万円 |
就職先
ケアマネジャーの就職先は大きく3つに分けられます。 いずれも「利用者の介護とケアプラン作成」に関わる施設です。
居宅介護支援事業所
通称:居宅ケアマネジャー
主な業務:在宅の利用者や家族のためにケアプランを作成
利用者宅への訪問も行う
入居介護施設
通称:施設ケアマネジャー
主な業務:老人ホームなど施設入居者向けのケアプランを作成
施設によっては夜勤もある
地域包括支援センター
地域の福祉専門家(ケアマネジャー・保健師・社会福祉士など)
主な業務:高齢者を中心に介護が必要な人への支援や相談対応
地域のケアマネジャーの相談にも対応する
仕事内容・役割
ケアマネジャーは介護利用者と提供者をつなぎ、適切な介護内容をプランニングするプロフェッショナルです。 「ケアプラン」という介護計画を作成することが代表的な役割ですが、作成だけで終わりではありません。現場リーダーや管理者のような立ち位置で自治体や介護・医療サービスの事業者と連携を取りながら、利用者に最良のサービスを提供していけるよう、調整や見直しを随時行います。
ケアプラン作成にも各所との連携にも、幅広く深い知識や経験が必要となるため、実務経験が必須の資格となっています。
月給・年収・賞与(ボーナス)
ケアマネジャーの平均年収は429万6,000円です(2025年、10人以上の組織)。過去10年間では増加傾向にあり、受験ハードルが引き上げられた2018年からは顕著に増加しています。規模別に見ると、5~9人規模の事業所が最も高く、給与は規模よりも個人のスキルに依存することが伺えます。給与は年齢に伴って上がり続け、45~49歳に最も平均年収が高くなりますが、50代以降は下降する傾向にあります。
ケアマネジャーの給料相場(2024年) | |
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年収 | 429万6,000円 |
月給 | 30万1,600円 |
賞与・ボーナス | 67万6,700円 |
時給 | 1,708円 |
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」より
適性・向いている人
ケアマネジャーは業務範囲が広いため、介護系職種のなかでも特に総合的なスキルや経験が求められます。大前提として介護や福祉に関するスキルは押さえたうえで、対人スキルや事務処理能力といった一般的な社会人としての適性が必要になってくるでしょう。
企画立案力がある人
ケアマネジャーの主な仕事は「ケアプランの作成」です。ケアプラン作成のためには利用者や関係者へヒアリングのうえで、要望と状況を照らし合わせて実行可能な案を提案する能力が必要となります。全員に当てはまるような明確な答えが無いものをオーダーメイドで作成していく仕事となるため、マニュアル通りに行動するだけでなく、自分の考えや意見をもって提案する姿勢が必要です。
事務処理能力がある人
ケアマネジャーは現場管理の仕事が中心となる一方で、事務的な業務も数多く発生します。利用者が要介護認定を受けるための書類手配や作成の代行などもケアマネジャーの一般的な業務の1つです。このほかに医療・福祉関連施設への書類提出やメール連絡なども発生する可能性が高いため、基本的なPCスキルや書類作成能力は必須と言えるでしょう。
関係者を巻き込み相談できる人
ケアマネジャーの仕事は1人では完結しません。また、自分だけが納得しているケアプランでは利用者に最善の介護サービスを提供することはできません。病院、介護事業者、自治体、地域包括支援センターなど各所を巻き込み、ケアマネジャーが中心となって働きかけ、各所の協力や合意を得ながら最善策を探していく必要があります。独りよがりにならず、明るく前向きに協力を仰げる力や、チームを前に進めていく力が求められるでしょう。